登山ブランドなのに、スカル。
普通に考えれば、登山ブランドとは結び付かないような名前やモチーフがTBHには数多くあります。
Deadman's Hoodie
DEATH RIDGE
Fly or Die
とにかくスカルが多い。
登山ブランドと聞いて思い浮かぶのは、美しい山並みや雄大な自然、動物や植物をモチーフにしたデザインではないでしょうか。
その中でTBHは、少し異質な存在なのかもしれません。
だから今回は、その理由を書いてみようと思います。
……とは言っても、最初にひとつだけ。
タイトルにも書いた通り、スカルに意味なんてありませんでした。
少なくとも、最初は。
ボクが最初にスカルを意識したのは、小学生の頃でした。
当時夢中になって遊んでいたファミコン ディスクシステムの『悪魔城ドラキュラ』。
終盤に現れるボス、「死神」。
ラスボスではありません。
でも、子どものボクにはラスボスなんかより何倍も怖い存在でした。
テレビの前でコントローラーを握りしめながら、「出てきた……。」と思った瞬間の緊張感は、今でも鮮明に覚えています。
あの頃のボクにとって、スカルや死神は、この世で一番怖いものの象徴でした。
その後ロックやパンクに出会い、気が付けば好きなバンドのジャケットやTシャツにはスカルが描かれ、自然とそういうデザインに惹かれるようになっていました。
それは月美も同じです。
二人ともロックが好きで、二人ともスカルが好き。
だからTBHにスカルが多いことに、何の違和感もありませんでした。
ブランドコンセプトから逆算したわけでも、深い意味を込めて選んだわけでもありません。
好きだったから使った。
本当に、それだけでした。
でも、不思議なものです。
山を歩き続けるうちに、そのスカルは少しずつ違う意味を持つようになりました。
山は、本当に素晴らしい場所です。
息を呑むような景色があり、街では味わえない達成感があります。
でも同時に、人の命を簡単に奪う場所でもあります。
毎年のように遭難事故が起き、命を落とす人がいます。
登山を続けていると、その現実から目を背けることはできません。
だからTBHは、「死」を格好良く描きたいわけではありません。
危険を煽りたいわけでもありません。
むしろ、その逆です。
死があることを知っているからこそ、生きて帰ることを大切にしたい。
山頂に立つことよりも大切なのは、無事に家へ帰ること。
家族や仲間のもとへ帰ること。
今のボクにとってスカルは、恐怖の象徴でもなく、反骨の象徴でもありません。
自然を甘く見ないこと。
山への敬意を忘れないこと。
そして、生きて帰ることを忘れないための象徴です。
……と、ここまで真面目に語ってきましたが。
実は一番最初の理由は、もっと単純です。
フジモトと月美が、昔からロック好きで、二人ともスカルが大好き。
TBHにスカルが多いのは、結局そこから始まりました。
始まりはロック。
でも、山を歩き続けるうちに、スカルは少しずつ違う意味を持つようになりました。
だから今日も、TBHはスカルを描いています。
明日も無事に家族のもとへ帰れるように。
KEI FUJIMOTO
Founder / Art Director / 週末冒険家
THUNDER BIRD HILLS代表。15年以上にわたり登山を続け、実地テストを重ねながらギアを開発。YouTube「THUNDER BIRD HILLS」ではフィールド・ドキュメンタリーを発信している。