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「付属」と呼ばれるプラパーツ

許容できない5%の違和感

記事: 「付属」と呼ばれるプラパーツ|許容できない5%の違和感

developer-note

バッグ作りで設計や素材に拘る。

そんなのは当たり前だ。

むしろ拘っていなかったら困る。

今回はその話じゃなくプラスチックパーツについて

ショップを始める前から買い漁っていたパーツ。

 

 

バッグを見る時も、生地より先にバックルを見ていた。

ITW、National Molding、Woojin、Duraflex。

気になるメーカーのパーツは片っ端から研究した。

当時は製品を作る予定なんてなかった。

ただ好きだった。

バックルを触るのが好きだった。

店頭でバッグを見る。

バックルを触る。

また別のバッグを見る。

またバックルを触る。

相当マニアックな話しである。


ギミックや生地・縫製と同じくらいプラパーツが気になる。

 

 

 

でもずっとそうだった。

プラスチックパーツと一言で言っても種類は無数にある。

テープとテープを繋ぐもの。
テープとロープを繋ぐもの。
異なる幅のテープ同士を繋ぐもの。
方向を変えるもの。
固定するもの。
調整するもの。

毎年のように新しいパーツが出てくる。

一年前には存在しなかったようなパーツが当たり前のように出てくる。


様々な用途に開発された部品が無数に存在する。

 

 

 

そしてバッグの使い勝手は、こういうパーツ一つで驚くほど変わる。

だから集めるだけじゃなかった。

使っていた。

バッグを買う。

切る。

付け替える。

使う。

気に入らなければまた変える。

今でこそ製品を作っているけど、やっていることは当時とあまり変わらない。

自分専用にカスタマイズしていただけだ。

底面に外付け用のバックルと、ピッケル固定用のトグルを取り付ける。

 

 

 

バッグの性能は、このパーツの使い方で決まると言っても過言ではない。

自分は本気でそう思っている。

その中でもITWは別格だった。

 

ITWはアメリカのバックルメーカーで、登山用品やミリタリー装備、

救助隊の装備など、絶対に壊れてほしくない道具に使われる

バックルを長年作り続けています。

強度や耐久性、操作性への信頼が高く、

世界中のアウトドアメーカーや軍用装備メーカーに採用されています。

バックル業界では定番とも言える存在で、

「ITWが付いているなら安心」と考える人も少なくありません。

 

初めて触った時は衝撃だった。

同じバックルなのに別物だった。

だから自分で製品を作るようになったら、絶対にITWを使おうと思っていた。

でも実際は違った。

製品を作る側になると見える景色が変わる。

ITWは今でも好きだ。

強い。

精度も高い。

でも硬い。

人によってはかなり硬い。

女性なら開け閉めに苦労する人もいる。

登山で使うにはオーバースペックな部分もある。

そして高い。

量産になるとその差は想像以上に大きくなる。

好きなパーツと、製品に必要なパーツは違った。

だから探した。

理想のパーツを。

世界中からサンプルを取り寄せた。

 

 

 

これはプラスチックパーツだけの話じゃない。

これまで色々な製品を作ってきた。

その度に色々なメーカーとやり取りした。

日本だから良い。

中国だから悪い。

そんな世界は存在しなかった。

驚くほど良いメーカーもある。

驚くほど酷いメーカーもある。

それだけだった。

だから途中から国は見なくなった。

見るのは製品と担当者だけになった。

今回採用したプラスチックパーツも中国のメーカーだ。

有名メーカーではない。

でもサンプルを触った瞬間に分かった。

これだと思った。

品質も良かった。

何より担当者が良かった。

こちらが言葉にできていない部分まで理解してくれた。

何度も製品を作ってきて思う。

モノ作りは工場で決まらない。

最後は人だ。

実際に製品開発を始めて驚いたこともある。

仕様書を渡しても、意図したパーツがそのまま付いてくるとは限らない。

工場からすると調達しやすい近いパーツに置き換わることもある。

もちろん工場が悪いわけじゃない。

国内では簡単に手に入らないパーツも多いし、その方が生産しやすい。

その方が現実的だ。

だから自分が100%全て納得する製品を作るには

材料も全て自分が手配する以外になかった。

ただ、この記事で書きたいのはバックルの話じゃない。

バッグを作る時、多くのブランドは黒いパーツを使う。

それが普通だ。

安いし、在庫もある。

納期も早い。

何も困らない。

黒でいい。

本当に黒でいい。

でも、自分にはほんの少しの違和感が残った。

サンプルが届く。

生地を見る。

形を見る。

そして最後にバックルを見る。

気になる。

また気になる。

一度気になると終わりだ。

もうそこしか見えなくなる。

黒いバックル。

黒いコードロック。

黒いウェビング。

もちろん使える。

機能的には何の問題もない。

でも浮いて見える。

まとまらない。

視線が止まる。

その度にまた考える。

じゃあ色を作るしかない。

だからTBHではウェビングも調色している。

プラスチックパーツも調色している。

既製色は使っていない。

Pantoneで色を指定して作っている。

世界で最も広く使われている色見本システムPANTONEを使って色合わせする。

 

 

 

実はジッパープルも同じだ。

TBHで使っているジッパープルも既製品ではない。

Pantoneで色を指定し、オリジナルで製作している。

正直、面倒だ。

黒ならすぐ終わる。

既製色ならすぐ終わる。

安くなる。

納期も早い。

でも、それでは終われなかった。

最後に残るその小さな違和感だけは許容できなかった。

調色した後レーザー刻印を打つ。

 

 

 

バックル一個。

ウェビング一本。

ジッパープル一つ。

多くの人は気付かない。

気付かなくていい。

バックルの持つ存在感なんて製品全体の5%程度。

残りの95%は納得がいってる。

でも自分にはその5%が違和感として残る。

だから直す。

だから作る。

だから今でも店頭でバッグを見ると、

まず先にバックルを見てしまう。

生地と同じくらい妥協出来ないパーツたち。